闇久の糸の世界


舞台設定
「闇久の糸」は架空中世日本を舞台にしている。
 政治体系は平安に近い体系を取っており、天皇が全ての政治を運営しているが、東北の部分のはさほど介入が無く、それぞれの村事にルールを敷いており、それに準ずる形の場所が多い。
 また、道が開拓されておらず、都の近くは舗装された道もあるのだが、遠くなるにつれて道が悪くなり、北の方になると村と村の間には獣道ぐらいしか存在しなくなってしまう。そのため森や山の方がまだ多く、『妖』などの生息も人間に近く存在し、他の動物と同じように見かけている。『妖』には不可思議な力を持つものが多く、人間はその力を恐れたり崇めたりすることで信仰を持つ村もあり、妖はその村によって扱いは大きく変わってくる。
 この時代「術」は衰退期を迎えており、使える術師は年々少なくなってきている。
 現在、術を使えるものは民間では存在せず、全て宮内の陰陽寮などに招かれており、陰陽寮の人数が六人から一気に三一名に増えている。
 また、他の国との接触は隣の中国(この年では尊と言う国)しかなく、この国の文化を模した様式が盛んに取り入れられている。文字、宗教、学問の分野では飛躍的な向上が進められており、後の『西都文化』と呼ばれる文化の原型になった。
 しかし、それは貴族達と言った小さい範囲の文化であり、民衆特に北端、南端の民衆にとっては意味を成す文化ではなく、その生活様式はほとんど変わっていない。
 だが、通貨が発達してきており、民衆にもそれが受け入れられ、現在よほどの辺境でなければ統一通貨が使用されている。そのため、物々交換がそれまでの主流だったのだが、通貨が導入されたことにより様々な『価値』が生まれはじめている。当然、内陸や沿岸などの村の環境によって『物の価値』は大きく変わり、ある村では十の価値でしかないものが、他の村では百ほどの価値があると言う事は珍しくない。


読み方は『あやかし』。不可思議な生体を持つ生物種の事である。
 普通の動物よりも姿形がいびつで、俗に『妖怪』とも呼ばれている。
 普通には理解できないような不可思議な力を持っており、それにより人間達に恐れられたり崇められることがあるが、その力が一体何のためにあるのか、誰も知ることが出来ない。
 大抵は単体で生活しており、集団で生活する妖は珍しい。
 また土地によって現れる妖も違い、なわばり意識が強い傾向を持っている。


「現世(うつしよ、げんせ)」と呼ばれるこの世界に、「迷世(まよいよ、めいせ)」と呼ばれる世界を重ね合わせることで己の使いたい力を行使する方法。
「迷世」は様々な方法で発生させることが可能で、その発生方法として特に使われるのが「呪文」と「印」だ。この二つの内、一方、または両方を使い「迷世」を呼び出す。
「迷世」は言語、思念を形にする世界で、そこで形にしたものを「現世」に移行させることで、「術」を完成させる。
 ただ、「迷世」に感応するには素質が必要で、また呼び出した「迷世」より大きいものは「現世」に移行させることはできない。
 素質以外の制限がほとんどなく、非常に強力な「力」ではあるが、それに見合った代償が必要で、大抵が使ったものの「命」を代償にしなければならない。
 そのため、術を使う人間は短命であり、使い始めて数年で死に至るものもいるほどだ。
 術の中には「外法」と言われる代償を変える術もあるが、それにも弊害はあり、術を使う人間は術を他人に見せびらかすようなことは絶対にしない。
 また「現世」に「迷世」を合わせることは危険な行為で、多数の人間が同時に迷世を呼び出すと一時的に「現世」と「迷世」が同一化してしまうと言う現象が起きる場合がある。その場合、広範囲に及ぶ「迷世」に、何も知らない「迷世」に感応できる才能を持った人間がいた場合、その人間の思念をそのまま具体化してしまうという危険性をはらんでいる。

外法
本来「術」は命を代償にして使用するのだが、それ以外を代償として行使する術がある。この世界ではそれを外法、もしくは禁術と呼ぶ。
 外法は他者の命や生者を死者に変えることで使用する術である。
 当然自らの命を消費しないため、通常の術よりは簡単に使用できるが、他者の命を奪うという行為の為、代償となった存在がどれほど小さな恨みでも抱いていた場合、術者はその人間の「怨念」に取り憑かれることになる(例え誰と分からなくても、自動的に術者を見つけ出す)。
 多くの外法を使えば、当然ながら怨念も強力になり、その怨念はやがて術者を「喰らい」術者はその怨念が満足するまで苦しみ続ける。 ただ、怨念を回避する術もあるため、その全てを術者が受けることはない。が、あくまで回避する事は生きているときだけであり、死んだ場合はそうも言っていられなくなる。
 つまり、「怨念」は術者が死んだ後に「喰らう」場合もあり、この場合は術者は最悪「吸血鬼」になってしまう。そのため、外法を使う人間は少なく、使う場合でもそれほど弊害のない植物や動物を使う。

怨念
外法などで死んだ人間の魂のエネルギーが作り上げる呪いの力。
 怨念は魂そのものであり、恨みを晴らすことでこの世の未練を断ち切って、浄化することが出来る。
 ただ、恨みを晴らさなければ永遠に現世を彷徨い続け、怨念は年月に比例して強力になり、祓うことも難しくなる。
 魂を浄化させる道具、銀などの金属や清流(水)、日光に弱い性質を持っている。
 しかし、上の三つはその効力を一時的に下げるものであって(長時間ならば浄化する場合もある)直接浄化する事は出来ず、確実に浄化する為には怨念の恨みを晴らさせる以外に方法はない。
 中には怨念の矛先を変える「身代わり」という技術もあるが、それはさほど年月の経っていない怨念程度しか効果はなく、長く怨念を続けている魂には通用はしない。

吸血鬼
吸血鬼。それは外法などによって怨念を生み出し、死後にその怨念に「喰われる」事で「死んでいない」状態にされた存在の事を示す。 吸血鬼を生み出すほどに「喰われる」人間はそうはいないが、吸血鬼となった人間は、怨念の力によって通常の数倍近い運動能力を得ることが出来る。ただ、痛覚なども数倍になるため苦痛の度合いは人間の比ではない。
 また、日に一度生物の生命力と血を摂取せねばならず、それを怠った場合は、恐ろしい激痛に見舞われながら体が壊死していく。しかも生命力や血を奪ったものが死ぬと、それも怨念となり吸血鬼を生かし続ける。
 高齢の人間などは生命力を奪うと直ぐに死んでしまうためにその確率は高い。
 吸血鬼は怨念で生きるため、ほぼ「不老」と考えて良い。そして彼等は老衰で死ぬことは絶対にない。彼等は怨念で生かされているため、怨念が苦手なものは全て苦手であり、日の光や水など受けてしまうと強烈な痛みに襲われ、最悪しばらく身動きが取れなくなる。
 しかし、彼等を殺すのはそれだけでは足りず、彼等にまとわりつく怨念を取り祓う以外に吸血鬼を滅ぼす方法はない。
 怨念を取り払うには、その吸血鬼を幾度も殺し続ける事が最も有効である。怨念は吸血鬼となった存在を恨んで怨念になっているので、それ相応の痛みを与えれば満足できるのだ。
 それによって浄化し、吸血鬼を縛るものを消す事で吸血鬼を殺しきるのである。吸血鬼に血を吸われても、人は吸血鬼にはならないが人が吸血鬼になる方法がもう一つある。それはその吸血鬼から怨念を分けて貰う方法だ。
 具体的には吸血鬼の牙を自らの体内に埋め込む事で生命活動を停止させ、吸血鬼化させるのである。これにより数体の怨念は、恨んでいる存在だと判断し、その人間に取り憑く事で吸血鬼化させる。
 ただし、本家の吸血鬼とは違うためメリットもデメリットも低くなる。しかし、それ相応の怨念をその身に纏えば本物同様の能力を身につけることができる。

化物
この時代では、化物は「世界の歪みによって生まれた忌むべき存在」となっている……が、事実は違う。
 確かに「歪み」によって化物は誕生するが(吸血鬼はこの時代と同じような解釈で合っている)、本当の化物はそう言った「歪み」を強制的に排除する世界の掃除屋としての役割を持つ。
 主に有名なのが「紅撃手(こうげきしゅ)」と「再蒼手(さいせいしゅ)」の二種類で、「紅撃手」は「歪み」を直接破壊する化物であり、その破壊力は視線で山一つ粉砕するほどの能力を有している。
 過去に一度、有史に「紅撃手」が登場したことがあるが、その時は太陽光線の集束度を変換し、数千万度の光の矢をたった一人の「歪み」に対して使用している。そのため、暗闇の空を一度紅く染めた。そこからこの「紅撃手」は「緋空」という名が付いたのだが、以降の歴史にこの化物は登場していない。
 「再蒼手」は逆に再生や生産を司っている。「紅撃手」によって破壊された「歪み」でないものは「再蒼手」の力によって再生されるのだ。この二体の化物が登場するときは、尋常でない破壊が為されるため、人々にとって化物とは「忌むべきもの」と表現されるのである。

潜在覚醒
青年の奥の手の一つ。本来人間は持っている筋肉の六割程度しか利用していない。
 その使われていない筋肉を使用するのが「潜在覚醒」である。そのため、これを使用している間は青年の運動能力は通常の人間のそれを遥かに上回る。ただし、本来セーブしている筋力を使用しているので、その分の負担と反動も大きくなり、使用時間が長ければ筋肉繊維が断裂する恐れがある。

神経連結
青年の奥の手の一つ。中枢神経から末端神経までの電気信号を過剰化させて動体視力や反射神経などの神経節に関する能力、そして脳処理速度を飛躍的に加速化させる(クロックアップ)。その為、この「神経連結」状態では周りの景色が全てスローモーション化する。
ただ、情報処理の膨大さから神経が焼き切れる可能性があり、連続使用は出来ない。

無数
疾風の奥の手。自らを取り巻いている「怨念」の力を逆利用することで、術に似た効果を創り出す。
「怨念」の力は強力なため、「禁術」に近い効果を創り出すことが出来るが、これを使用した後「怨念」は自分達が利用されたことに気付く為、その報復として疾風に強烈な激痛を与える。そのため疾風はこの技をあまり使うことはない。


設定は少しづつ増えていく予定です。

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